ドラゴン橋 から ほど近い 路地で 窓越しに 見えるのは ペン先ほどの 部品を 締める 指先と 湯気の 立つ コーヒー。観光客の 足並みが 遠ざかる とき 机上の 図面 に 書き込まれる 迷いのない 線が その日の 物語 を 決めます。通りすがりの 会話や さざめきも 音の 糸として 作品に 編み込まれます。
数百年 受け継がれた 模様帳 が 開かれ 木製の ボビン が こつこつ 当たり 音が 規則と 呼吸 を 重ねます。白い 糸は 雪より 柔らかく 軽く しかし 強く 結ばれ 祝祭も 日常も そっと 飾ります。祖母から 孫へ 渡る 手の 動きに 急がない 美徳 と 町の 誇り が 宿り 言葉より 伝わる 物語が 生まれます。
ふいご が うなる と 炭火は 柘榴の ように ひらき 鉄は まるで 麦の ように たわみ 形を 待ちます。鎚の 打点 一打ごとに 職人の 記憶が 重なり 屋根飾り 釘 装飾金具 が 生まれます。黒い 手袋の 中で 汗が 乾き 炎が 落ち着く 頃には 町の 風景に 新しい 点 が そっと 増えています。
氷の ように 澄む 青は 石の 白と 針葉の 緑を 引き連れ 光の 角度で 何度も 表情を 変えます。つり橋を 渡る とき 風の 糸が 肩に 触れ さざ波が 歩幅を 誘導します。川沿いの ベンチで ノートを 開けば 旅の 予定は すぐに 緩み 余白が 豊かに 広がります。
鏡の ような 水面に パドルの 輪が ひとつ ふたつ と 広がり 山影が 微笑みます。艇の 底を くすぐる 小石の 音や 遠くの 鐘楼の 音色が 時間の テンポを ゆっくり 調整します。岸に 戻る 頃には 肩の 力が 抜け 今日の 会話は 穏やかで 長持ちします。
木の ベンチに 座り 切符の 縁を 指で たどり 発車の 合図を 待ちます。列車は 谷を 抜け 畑を 横切り 村の 犬が 尾を 振る 速度で 走ります。見逃せないのは 窓に 映る 自分の 顔で 新しい 余白が 見つかり 次の 降車が ほんの少し 楽しく なります。
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